バストのたるみ(乳房下垂)にお悩みで来院される方の多くは、

実際の診察において下垂ではなく、デコルテ(上胸)のボリューム減少による「バストの削げ」と診断されるケースが少なくありません。


反対に、単なるボリューム低下と軽視されていたものの、

実際には乳房下垂矯正(バストリフト手術)の併用が不可欠な

進行段階である場合も多々あります。


この2つの状態を正確に見極めるべき理由は明確です。

原因によって、必要とされる手術的アプローチや切開方法が根本から異なるためです。


下垂したバストなのか、削げたバストなのかをご自宅で30秒で確認できる基準をまとめました。



1. バストのたるみセルフ診断:乳頭とアンダーバストライン(バージスライン)の相対的な位置


医学的に乳房の下垂の有無を判断する最も客観的な基準は、

「アンダーバストライン(乳房下溝線)」と「乳頭の高さ」の関係性です。


鏡の前に正しい姿勢で立ち、バストの下の折り返しの境界線(バージスライン)を基準に、

乳頭の位置を観察してみてください。


  • 第1段階(偽性下垂 / バストの削げ):乳頭がバージスラインよりも明らかに上にある場合


組織の下垂ではなく、上胸の軟部組織や脂肪のボリュームが減少し、垂れているように見えている状態です。

この場合、リフトの切開を行わなくても、シリコンバッグや脂肪注入によるボリューム補填だけで

引き上がったような視覚的改善効果を得ることができます。


  • 第2段階(軽度下垂):乳頭がバージスラインとほぼ同列の高さにある場合


実質的な乳房下垂が始まっている段階であり、

現在のボリューム状態と皮膚の弾力度に応じて、切開による矯正の必要性を綿密に評価する必要があります。


  • 第3段階(中等度以上の下垂):乳頭がバージスラインを基準に1〜3cm以上下方に位置している場合


単なるボリューム補填だけでは、伸びてしまった乳腺組織や皮膚を支えきれません。

下垂した組織を上方へと再配置するバストリフト手術の併用を検討する必要があります。


2. 下垂の程度に応じた術式


豊胸・リフト手術の核心は、「希望する傷跡の大きさ」に術式を合わせることではなく、

「現在のたるみの程度」に適した術式を選択することにあります。



  • ボリューム復元(シリコンバッグ豊胸術)


下垂がなく、削げ(ボリューム減少)のみがある場合に適用されます。

アンダーラインや脇の下などの最小限の切開のみで、削げてしまった空間を満たし、本来の弾力的なカーブを取り戻します。


  • 乳輪周囲切開リフト(サーキュラー法)


乳頭位置のわずかな上方移動が必要な、軽度下垂に適しています。

傷跡が乳輪の周囲の境界線に位置するため、時間の経過とともに目立ちにくくなるというメリットがあります。


  • 垂直切開法および逆T字切開法リフト(インバーテッドT法)


乳頭と乳腺組織全体を大幅に上方へ移動させる必要がある、中等度以上の下垂に適用されます。

切開線が長くなるという負担はあるものの、高度な下垂を確実かつ堅固に改善できる根本的な治療法です。


下垂が著しい状態であるにもかかわらず、傷跡を小さくしたいがために無理に小さな切開法だけにこだわると、

たるみが改善されない「低矯正(矯正不足)」が生じるリスクがあります。


反対に、軽度のたるみに対して過度な切開を適用すると不要な傷跡を残してしまうため、

進行段階に合致した精密な手術デザインが前提とならなければなりません。


3. 日常生活でバストのたるみ進行を遅らせる4つの習慣


外科的治療の前、あるいは手術後の弾力維持・ケアのために日常生活で心がけるべき原則です。



1) 急激な体重減少を避ける


1ヶ月に5kg以上の急激な減量を行うと、皮膚の収縮スピードが

脂肪の減少に追いつかず、バストのたるみが急速に加速してしまいます。(月1〜2kg程度の減量を推奨)


最近では、GLP-1などのダイエット注射で短期間に体重を落とした後、リバウンドを繰り返してしまう方において、

バストのたるみに関するご相談が非常に増えています。


2) 高強度な運動時はスポーツブラを着用する


ランニングなど、バストの上下の揺れが大きい運動を行う際は、

十分なホールド力とサポート力を備えたスポーツブラの着用が不可欠です。


生まれつきバストが大きい方や、インプラント豊胸手術を受けられた方は、

しっかりと支えてくれるスポーツブラを必ず着用する必要があります。


3) ナイトブラを着用する


横向きで寝る癖がある場合、長時間の重力や圧迫によって

バスト組織が片側に流れたり押しつぶされたりしてしまいます。


就寝用のノンワイヤー・無圧迫タイプのナイトブラは、こうした片寄りをしっかりと和らげてくれます。


4) 過度なマッサージに注意する


強い圧迫を加えるバストマッサージは、バストを支えるクーパー靭帯を痛め弱めてしまう恐れがあるため、

優しい力加減で行う必要があります。


豊胸手術および乳房下垂矯正のカウンセリングを受ける際は、必ずご確認ください


「乳頭とバージスラインの距離を実際に計測し、客観的な数値をもとにたるみの段階を診断してくれるか」


「傷跡を最小限に抑える方法と、矯正効果を確実に得る方法の違いを明確に説明してくれるか」


「患者様が希望する切開法が下垂の段階に適していない場合、

その医学的根拠と生じうる限界点について明確に提示してくれるか」


バストリフトの必要性の判断には、乳頭の位置に基づいた解剖学的な正確な診断が不可欠です。