豊胸インプラント(バッグ)にも新作があります。



ただし、スマートフォンのように毎年新製品が出るわけではありません。

新しいインプラントが一つ誕生するまでには、数年におよぶ研究と認可プロセスを経る必要があるためです。



だからこそ、新製品のニュースは美容外科業界において非常に大きな話題となります。

2026年はそのニュースが特に多い年であり、

2027年にはインプラント選びの選択肢がさらに広がる見込みです。



したがって、インプラントを選ぶ前に考えてみる必要があります。

果たして「新しいインプラント」が、必ずしも「自分に合ったインプラント」なのでしょうか?







本日は、最近リリースされた製品から

2026年に登場した製品、そして2027年に予定されている最新情報までを分かりやすく整理してお伝えします。



Mentor Boost(2023年)、何が変わったのでしょうか?



全体の流れを把握するには、まず直前の製品から見ていく必要があります。

2023年に韓国で発売されたMentorのBoostです。



その核となる特徴を一言で表すと「もっちりとした弾力感」です。

シリコンゲルの分子結合、すなわち架橋率を高めることで、

柔らかすぎる感触ではなく、適度なハリと弾力のある感触を実現しました。



もう一つの改善点はリプリング、

つまりインプラントの表面に生じる波状のシワの軽減です。



では、なぜシワが問題になるのでしょうか?







紙を同じ場所で何度も折ったり広げたりを繰り返すと、破れてしまいますよね。

インプラントも同様に、折り畳まれた部分が繰り返し擦れ合うことで摩耗が進み、破損(リップル破損)の原因となることがあります。



Boostは、このシワが生じにくいよう構造を改良した製品です。

しかし、ここにはジレンマが存在します。

シワをなくそうと張りを強めると、インプラントはどうしても硬くなりやすいのです。



Boostは、リプリングを抑えながらも自然な柔らかさを保っている点に大きな意義があります。



デコルテ(上胸)のボリュームが削げにくいため、上胸の薄さが気になる体型の方にとって、

有力な選択肢の一つとなりました。



また、中等度〜高めの突出度であるModerate-Highのプロファイルにおいて、

細分化されたサイズが追加された点も特徴です。




2026年の韓国製インプラント「Bouns」、どのような製品でしょうか?



2026年5月、HansBiomed社が韓国製インプラント「Bouns」をリリースしました。



韓国製インプラントは一時期、市場において空白期が続いていました。

Bounsはその空白期間の間に、MotivaやMentorといったグローバル製品の

シェル(外膜)の厚みやゲルの粘度などのスペックを徹底的に研究し、品質を大幅に向上させた製品です。



インプラントの長年のジレンマとして、感触が柔らかいほど

シェルが弱くなりやすいという点がありました。

それでは、Bounsはこのジレンマをどのように解決したのでしょうか?



それは、引張強度の高いシェルに最適化された粘度のゲルを採用したことです。

柔らかい触感と優れた耐久性の両立を追求した製品となっています。



感触としてはMentor ExtraとMotivaの中間ほどの物性で、

反発感が強すぎず、自然な柔らかさを与えてくれるというのが私個人の評価です。



私が特に注目しているのは、韓国人女性の体型に合わせた精密な設計です。

突出度が5段階に細分化され、サイズ展開も非常に緻密です。

左右のバストサイズが異なる左右差の矯正においても、選択の幅がぐっと広がりました。



過度に大きくすることなく、美しい谷間を寄せたい方にとっても有用な選択肢となります。

大学病院での乳房切除後の再建手術にも採用されており、

開業医の間では供給が追いつかないという声が聞かれるほどです。







2027年にはどのようなインプラント新製品が登場するのでしょうか?



歯科用インプラントで知られるOsstem Implantが、

豊胸インプラントを開発中であるという情報が業界内で話題となっています。



さらに、特殊な表面処理技術によってインプラントを包む被膜の肥厚や収縮を防ぎ、

バストが硬くなる「被膜拘縮(カプセル拘縮)」のリスクを低減することを目指して開発された、

もう一つの韓国製製品も発売に向けて準備を進めています。



リリース後に臨床データが確認されれば、被膜拘縮を心配される方々にとって

新たな心強い選択肢となるはずです。



海外に目を向けると、Motivaの次世代製品が

先行発売された国々で感触の面から高い評価を得ており、

韓国での発売は2027年頃と見込まれています。




豊胸インプラント、新製品が常に「最善」なのでしょうか?



現在のインプラント市場は、

「より柔らかく、しかしいっそう丈夫に」という方向へと進化しています。



しかし、新製品が必ずしもご自身にとって最善であるとは限りません。



インプラント選びは流行ではなく、

ご自身の胸郭の形、軟部組織の状態、そして理想とする仕上がりに合っているかどうかが本質だからです。



要約すると、

新しいインプラントの登場は「選択肢が広がった」というニュースとして捉えていただければ十分です。

実際の選択は、ご自身の胸の状態を直接診察した専門医と相談して決定することが何よりも大切です。




インプラントの新製品について、覚えておいていただきたい2つのポイント



第一に、インプラント市場は「より柔らかく、しかしいっそう丈夫に」という

方向に向かって進化を続けています。



第二に、新製品が必ずしも最善の選択肢とは限りません。

ご自身の胸郭や組織の状態、そして希望するデザインに適しているかどうかが最優先です。



手術前に確認しておくべきこと



  • 提案されたインプラントのゲルの凝集性、シェルの厚み、突出度が、なぜ自分の組織の厚みや胸郭の幅に合っているのか、理由の説明があるか
  • 新製品を勧められた場合、ご自身の身体条件において従来品と比べて優れている点だけでなく、まだ検証段階にある点についても併せて説明があるか




胸の手術を専門とする形成外科・美容外科の専門医であれば、新製品のスペックに精通していることにとどまらず、

患者様一人ひとりの組織状態に合った製品を見極める基準から丁寧にお伝えするべきであると考えております。